Tiilaux-chaput?足関節果部骨折の剥離骨片について【整形外科】

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足関節果部骨折には様々な呼び名があるが

 

今回は、足関節脱臼骨折について。

 

 

前回に引き続き、マニアックな話題になりそーですww

 

 

足関節果部骨折には色々な骨片やら骨折の呼び名があります。

 

有名なところで言えば、

"Maisonneuve骨折" とかですね。

前回お話しましたが、

足関節果部骨折なのですが腓骨近位の骨折を伴い、

骨間膜の破綻のため足関節部の脛腓間不安定性が著明となります。

基本は脛腓間の固定が必要になります。

 

 

あとは、

”Volkmann骨片”とかでしょうか。

いわゆる後果骨片、PITFLの脛骨付着部の骨片ですね。

これは骨片の大きさ、関節面との割合で固定するかどうか。

 

 

この辺がいわゆるメジャーな呼び名がついてる骨折、骨片とは思います。

 

では今回お話する

”Tiilaux-chaput骨折”とはなんなのでしょうか。

 

前下脛腓靭帯(AITFL)!!その付着部の剥離骨折!!

 

Tiilaux-chaput骨折は、

AITFLの付着部の剥離骨折、脛骨付着部が剥がれる骨折です。

 

 

ちなみに、

腓骨の靭帯付着部が遊離するように、骨折部で粉砕している骨折のパターンもあります。

”wagstaffe-Le fort骨折”といいます。(もっと簡単にしてくれw

 

文献などでは、めんどいのでTC骨折とか、WF骨折とかで記載されたりします。

 

 

今回は、次回執刀しそうな足関節脱臼骨折がTC骨折だったので、

あえて取り上げてみました。

 

下記のような骨折がTC骨折です。

足関節 Tillaux‒Chaput 骨折に対する K‒wire と screw を使用した新しい固定法― Spring hook pin 法― 三矢ら

 

自分の経験が少ないだけかもですが、

TC骨折はそんな多くない印象です。

というか気にしてこなかっただけかもですが。。。。

 

下記文献で見ると意外に多いですね。

📝参考文献
関節外科 vol.38 No.4(2019)

1876年にフランス人医師 Paul Jules Tillauxが新鮮死体標本を用いた実験で,足関節に外転外旋外力が加わった結果,前下脛腓靱帯の牽引により,脛骨付着部に裂離骨折が生じることを報告した。

1899年にフランス人医師Victor Alexandre Henri Chaputが,単純X線像で足関節 果部骨折136例中42例に本骨折があることを報告し た。

以上より,Tillaux-Chaput fractureの名称が使 われている。現在では成人であっても,脛骨遠位 前外側部に生じた骨折や骨片のことをTillaux- Chaput fractureやfragmentと呼称している。

 

 

完全に個人的な印象ですが!

 

よほど大きい骨片でなければ、

骨片を固定しなくても著明な不安定性をきたすことはあまりないと思います。

 

国内文献で報告されたものを見ると、

TC骨折は、AO44のtypeB,Cに合併し、

・剥離骨片が巨大である

・骨片の関節内陥入

が固定の適応と発表しているものが有りました。

 

適応症例に関しては自分はあまり経験がありません。

 

いわゆるSERtype4、もしくは原口分類のERtype4でも

外果、内果(と後果)をしっかり固定すれば

小骨片であれば不安定性はあまり出ないと考えてます。

いざ!固定するとなったら。。

 

今回も、

いや固定せんでええやろ!!

 

とおもってますが、万が一のことを想定しておく必要があります。

 

 

皮切に関して

 

外側アプローチでTC骨片の整復と固定のために、

特に末梢は前方に切開するか

 

後外側アプローチに加えて、前方への皮切を加えて

double incisionとするか

 

今回、固定が必要なら後者になりそーです、、、

後外側plateオーダーされてるみたいだしね!!

 

固定材に関して

 

基本的にはscrew固定。rim plateの報告もあるみたいですが。

 

骨片が大きければ、Cannulated cancellous screw

ワッシャーを添えて

 

骨片が小さければ、Spring hook pin 法

K‒wireとscrew を添えて

 

上記を考えてます。

📝参考文献

骨折 第 41 No. 3 2019

Spring hook pin 法三矢らが発表した方法です。

 

小骨片をうまく抑え込もうという方法。

K‒wireをフック状に加工し靱帯と骨片の境界にK‒wireのフックを刺入し、

骨片を包み込むようにして固定する

というものです。

 

面白い固定方法ですね。

なお、三矢らは観血的固定の適応では以下のように述べてました。

TillauxChaput骨折のようなAITFLの剥離骨折は転位が大きいと癒合不全となりAITFLの機能 不全となり得るため,骨折部の解剖学的整復固定 が必要であると考える.

また,TillauxChaput骨 折が荷重部の関節面を含む場合は関節面の正確な 整復が必要であるため,2 mm 以上の転位がある 場合は観血的整復固定の適応とされる

 

 

この論文読んで思ったんですが、

 

腱板のbridging sutureでもいいかも?

 

って思いましたw

しかしこの方法は特別な準備・インプラントがなくても、

出来る点も非常に優れてます。

 

 

TC骨折を固定する場面はなかなか無いとは思いますが、

術前計画を入念に行いつつ、術中判断でどうするか決めたいと思います。




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