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肘がめっちゃ変形しておる、、、
今回は肘の脱臼について。
以前取り扱った”肘内障”は亜脱臼ですが、今回は完全脱臼について。
肘内障に関してはこちら。
脱臼とは、
関節を形成している骨同士の関節面が正しい位置関係を失い、完全に離れた状態です。
なぜ肘?と思う方もいるかもしれません。
それは今日診察したからですw
脱臼といえば、思いつくのはまず肩ですよね。
正確には肩関節前方脱臼。
その昔は、高校野球の監督が試合中に整復すると行った逸話もありますが、
よほどの反復性でも基本は辞めてくださいね。
脱臼の頻度としては、wikiさんではTOP3は
1位 肩関節前方脱臼
2位 肘関節後方脱臼
3位 顎関節前方脱臼
でした。3位が意外にも顎でしたw
てっきり、肩>人工股関節>肘>指
とか思ってましたが、意外や意外。
肘関節後方脱臼について
小児や高齢者では同じような怪我のパターンだと骨折のが多いです。
今回は30代の男性の交通事故でした。
病態は、
肘関節伸展・前腕回外位で手をつくことで肘頭が回転中心となり過伸展となり、
鉤状突起が上腕骨滑車を乗り越え橈骨・尺骨が上腕骨後方に脱臼する
です、”病見え”はわかりやすい!
このような流れで前腕骨が上腕の後方、橈側(が多いかな?)に脱臼します。
*他の文献見ると今回の過伸展説の他に回旋説もあるそうです。
上記のようになります。
明らかに外観変形しますし、外側に骨が盛り上がってます。
肩の脱臼もそうですが、前腕がバネ様に固定されてほぼ動かしません。
Xpで脱臼を確認したら、早急に整復しましょう。
基本的には早期なら、脱力してもらえば無麻酔で整復も可能なことが多いです。
しかし、疼痛や軟骨損傷リスクを考えると伝達麻酔や鎮静などを併するほうが良いとは思われます。
整復自体は
仰臥位、腹臥位ともにありますが、
基本は上腕骨をしっかり把持しカウンターをかけてもらいつつ、
前腕を牽引しながら屈曲させていきます。(やや橈側シフトあれば牽引方向なども注意)
で整復されます。
整復されれば上腕以下をシーネ等で外固定します。
およそ2〜3週、外固定行った後に可動域訓練を開始します。
可動域訓練は自動を中心に屈曲から開始し、内外反のストレスはかけないようにします。
その1週間後から伸展も開始し、不安定性強い場合は角度制限(20°程度)しつつ行います。
過負荷の他動は禁忌です。
保存でいけるのか、おい!!
大事な点ですが、
保存療法でいいのか、手術なのか!!という点です。
肘脱臼で考慮すべきことは多く、
・骨折の合併はないのか?
・血管や神経は大丈夫なのか?
・靭帯が多くあるけどそこの評価は?
こういったことを踏まえて、治療を考えます。
まずは骨折の有無です。
脱臼なのか、脱臼骨折なのか。
肘関節不安定症となりやすい骨折の合併、
terrible triad injuryといった名前で聞いたことあるかもですが、
橈骨頭、肘頭部、尺骨鉤状突起の骨折の有無はしっかり確認しましょう。
血管、神経に関しては
上腕動脈の損傷はありえますので、それ以遠の拍動確認は必要なのと、
著明な腫脹時に心配なコンパートメント症候群ですね。
阻血性壊死、神経麻痺はありえます。それを念頭に入れた治療、ICが必要です。
肘関節に特徴的といいますか、治療方針に置いて重要なのが
内側及び外側側副靭帯(MCL,LCL)及び周囲の靭帯複合体(MCL,LCLcomplex)の損傷を評価します。
一般的にはMRIやストレス撮影での評価となりますが、
肘伸展をさせていき、屈曲30°ぐらいでも脱臼などなければ保存とすることもあるそうです。
このへんで不安定性が出るようであれば手術ですが、
専門医による評価、靭帯修復術がbetterかと思います。
肩に比べては、頻度は少ないですが、
遭遇した際は、早期の整復・評価を行うようにしましょう。