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整復困難な不安定型転子部骨折のウェビナー
今回は”大腿骨転子部骨折”の整復困難例について。
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大腿骨頚部骨折の整復については以前取り上げましたが、
大腿骨転子部骨折は整復が超重要ですよね。
ありふれた骨折ですが、
100点満点の手術です!と言い切るのが難しい手術と個人的には思います。
奥が深いです。
今回のセミナーは
”福岡整形外科病院”の「徳永 真巳」先生の講義でした。
以前、雑誌で同様の項目を扱っていたのですが、
そのセミナーは雑誌を読んでわからない部分がクリアになったので非常に良かったです。
キーワードは
”VIPS”
です。
VIPSとは?
このVIPSとは何か。
Varus Impaction without Posterior Support type
内反陥入+後方支持欠損型の略称が”VIPS”
となります。
内反陥入はいわゆる髄内型、生田分類type Pですね。
これに後方骨片、支持が欠損すると非常に不安定型であるということです。
以前の分類でいうと、Jensen分類のⅢとかⅤなどですね。
-surgical technique vol.9 no.4 2019
これらは、
髄内型であると過度なtelescopingがおきてcut outしやすいですよ、ということです。
前方皮質が噛み合ってないときに、後方支持欠損の場合、
支えるものがないので
骨頭骨片が宙ぶらりん、lag screwのみで把持されてしまいます。
本来ある程度telescopingさせて圧着させる機構のはずが、
圧迫力が回旋力に変換され、cut outしてしまう
というわけです。
整復について
肝心の整復。
前内側皮質を髄外型、sub typeAにすることが結局最重要だと思います。
透視マジックで術後のレントゲンで解剖型となることもあるのでw
"one cortex over"は最低限でも意識したほうが良いと思います。
徳永先生は、まずk-wireでのintrafocal pinningを推奨されてました。
2.5〜3.0mmのK-wireをだいたい前方から刺入し、
骨頭骨片内にすすめ、テコの原理で持ち上げて整復。
そのままlag screwを刺入する方法です。
コンプレッションを掛けてからwire抜去するとのことでしたが、
これはK-wireならではのメリットな気もします。
自分はエレバなどで愛護的に持ち上げてやったりしますが、
骨片が割れる恐怖や、コンプレッションかける直前には抜かないとなので、、
それでも整復困難時はしっかり開けて、
骨折部の整復、または腸骨大腿靭帯の剥離も検討するとのこと。
ここまでいくと辛いですよねぇ。。。
その他には、
・大腿骨頸部の生理的前捻の意識
・近位骨片の跳ね上がったBeakは観血的操作での整復など
非常に勉強になりました。
自分の中で肝だと思っていた、
髄外型にして、骨片圧着させ、lag screwを至適位置に深く挿入!!
は的外れではないことが再確認できたので良かったです。
最優先は軸位の前内側皮質の整復ですね。
一般的な大腿骨転子部骨折だからこそ、
しっかりこだわって手術をしていきたいと思います。