
Contents
膝蓋骨、人体で最も大きい種子骨
今回は、膝蓋骨骨折について。
単純な縦骨折でも意外に苦戦することありませんか?
最近、膝蓋骨骨折をする機会が多く反省点などもあったため、調べていきたいと思います。
膝蓋骨は種子骨(筋肉や腱の中に形成される骨)で最も大きな骨で、
いわゆる”膝のお皿”の部分です。
日本骨折治療学会では次のように記載されてます。
膝蓋骨は、膝の関節の前方に存在し、一般に「膝のお皿の骨」と言われている丸い骨の事です。 この膝蓋骨は、膝の動きを滑らかにする役目を持ち、すなわち膝の曲げ伸ばし運動を効率良く行うために、動きの中心として支えています。
膝蓋骨骨折は、転んで膝をぶつけた、階段などの角に膝をぶつけた、或いは膝の上に物が落ちて来て当ったなどの原因で骨折します。
多くは書いてあるとおり、
打撲などの直達外力で受傷するケースが多いですが、
膝伸展機構の支点でもあり、急激に屈曲した際の大腿四頭筋の張力による介達受傷もあります。
頻度は全骨折の約1%と程度らしいです。
まあ多くはないですかね。
骨折形態は、
縦や横、粉砕と色んなケースがあります。
分類としては、やはり基本のAO分類ですかね。
〇:A,B,C □:sub type
まあこの分類は、整形外科だけ、しかも外傷メインでやる人だけでいいかもw
まあこの分類はルールさえわかれば基本的には覚えなくても言えるものではありますが。
骨折治療の基本なので、AO分類についてはしっかり勉強することをオススメします。
|
よく見る膝蓋骨骨折はこんな感じだと思います。
お皿のほぼ真ん中でバキッと折れてる骨が離れてますね。
治療は?
治療はどーなるのか!
といいますと、手術しなくてもすむ場合もあります。
手術適応に関しては、骨折部の転位の程度によります、臨床的には
・骨片間が3mm以上の転位
・関節面の転位が2mm以上
は手術適応と考えていいと思います。
上の図ように骨片が離れて接触有りません!!という場合は手術です。
逆に、骨折線はあるけどほぼズレてません!!という場合は手術しなくても大丈夫です。
シーネ・ギプス固定やニーブレースを3週は最低装着。その後は少しずつ可動域訓練ですね。
膝蓋骨は屈曲させないことが大事で、屈曲さえ制限すれば荷重も可能!!です。
ただ、荷重させる時に屈曲してしまうことがあるので、個人的にはシーネ固定よりはギプス、ニーブレースの方がいいかなと思います。
テンションバンドワイヤリング!!
手術は、
基本はテンションバンドワイヤリング
ではないでしょうか、鋼線締結・ひまわり法などもあるとは思いますが。
AO surgery referenceから引用させていただいた図が分かりやすいかと思いますが、
K-wireを平行に2本刺入し、周りに軟鋼線を締結します。
K-wireは膝蓋骨前方皮質から5mm下が理想とされてます。
関節面を攻める必要はむしろありません。太さは1.8mmを自分は使ってますが、1.6-2.0あたりでしょうか。
軟鋼線を直径1.0 – 1.25 mmのものを推奨されてますので、
それに締結した際に耐えられる強度のK-wireであれば問題はないと思います。
問題となるのは、
後方皮質、関節面が破綻している場合は、
テンションバンドワイヤリングは機能しないため不適切
ということですね。
関節面が粉砕、脆弱の場合は適応なのかしっかり検討する必要です。
tension forceをcompression foreesに変換するのが原理です。
compressionがかかるところが破綻していると、骨片の転位・離開を引き起こします。
手術の際はCTに骨片の粉砕や関節面の確認は十分必要かと思います。
もう一つは、
骨折の転位がひどく、
内外側の膝蓋支帯が断裂している場合は十分に縫合をすること。
これにより、伸展力回復がより見込めます。
適応を見極め、強力な固定を行い、早期のリハビリが行うことで、
良い治療経過につながると思います。