【整形外科】脆弱性骨盤骨折について!!

骨脆弱性、骨粗鬆症関連の骨折!!!

 

今回は骨折シリーズ。

そのなかでも、”骨盤骨折”について!!

 

 

骨盤骨折と聞けば、普通は交通事故などの高エネルギー外傷などを想像するかもしれません。

TVドラマに出てくるようなやつ。

創外固定なんかも、一般の人に少しは認知されてるのか?

いやそれはないか。

 

 

まあ、基本的にはこういった骨折をまず浮かべると思うのですが、

今回は、”脆弱性骨盤骨折”について。

 

 

つまり、骨が脆いため、骨粗鬆症などが原因でおこる骨盤骨折です。

やはり、骨粗鬆症は色々と問題が起きてきます。

 

骨粗鬆症で起こりやすい骨折でまず思い浮かべるのは、

・脊椎椎体骨折

・大腿骨近位部骨折

の2つですね。

 

これらは臨床的に多く、健康寿命などの観点から非常に重要な骨折です。

 

椎体骨折は多椎体に及ぶと急激に生命予後は悪くなりますし、

大腿骨近位部(頸部骨折・転子部骨折)は手術が基本となります。

頸部骨折に関してはこちらの記事も良ければ。

 

 

この2つ以外にも骨粗鬆症によって起こりやすい部位というのがガイドラインでも指摘されています。

椎体骨折、大腿骨近位部骨折以外の脆弱性骨折としては、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折、肋骨骨折、骨盤骨折(恥骨・坐骨・仙骨を含む)、下腿骨骨折がある

 

こんなにも、骨粗鬆症のせいで起こりやすい骨折があるんです。

 

 

まあ、多いのは橈骨遠位端骨折でしょう、

上腕骨近位端骨折もそこそこありますが。

 

 

 

では脆弱性骨盤骨折に関して、

普段の骨折と違うのか、治療はどうするか等

書いていきたいと思います。

 

 

脆弱性骨盤骨折(Fragility Fractures of the Pelvis:FFPs)

 

 

元々、高齢者の低エネルギー外傷でおこる骨折

 

いわゆる恥骨骨折とか坐骨骨折であり、

手術などは基本的にはせず、

 

疼痛に応じて、疼痛自制内でのリハビリ加療で経過観察。

それでも骨癒合は得られる、予後のいい骨折と考えてました。

 

 

しかし、最近ではこの骨折でも仙骨骨折などの、

骨盤輪後方要素の骨折、損傷の合併で予後不良な報告が散見されます。

 

保存療法で良かった分、曖昧になっていたこの骨折を、

2013年にRommensらがFFPsと呼称し、系統的に分析、治療方針の決定されるようになりました。

📝参考文献
Loco Cure vol.3 no.4 2017

✔ワンポイント
★Rommens分類
・TypeⅠ:前方のみの損傷。 
Ⅰa;片側恥骨枝骨折 Ⅰb;両側恥骨枝骨折
・TypeⅡ:転位ない後方骨盤輪の部分損傷。 
Ⅱa;前方損傷なし、仙骨単独骨折 Ⅱb;前方損傷あり、仙骨翼の圧潰 
Ⅱc;前方損傷あり、転位のない仙骨骨折・仙腸関節損傷・腸骨骨折
・TypeⅢ:転位した片側後方骨盤輪の損傷

Ⅲa;転位した腸骨骨折 Ⅲb;転位した仙腸関節損傷 Ⅲc;転位した仙骨骨折

・TypeⅣ:転位した両側後方骨盤輪の損傷

Ⅳa;両側の腸骨翼・仙腸関節損傷 Ⅳb;両側仙骨損傷・脊椎骨盤離開・H型骨折 
Ⅳc;異なる後方損傷の組み合わせ

 

この分類をしっかり判定するためには

骨盤CTは必須だと思います。

 

 

また、高エネルギー外傷による骨盤輪骨折と異なり、

後方骨盤輪の損傷があっても、後方靭帯群の損傷はないと基本的にはされています。

軟部組織損傷も少なく、一時的創外固定などが必要になることは少ないです。

 

血行動態が不安定になることも少ないと言われてます。

ただショックになることもあり、

Krappingerらの報告ではFFPsの2.4%が出血性ショックに至ったと。

 

FFPsは高齢者に多く、血管の弾性の低下により

出血に関しては動脈性が多く、

Hbが普段より2g/dL以上低下があれば造影CTが推奨されています。

 

治療や注意点

 

では、治療はどうなるのか。

 

先程の骨折型によるtypeで下記の治療をRommensは推奨しています。

 

typeⅢ以上はopeのが治療成績は良いです。

 

悩むのがtypeⅡに関してですね。

このFFPsの悩ましい部分が、typeの進行があるということ!!

 

これを念頭に置いて治療に当たる必要があり、

症状や画像評価を適宜行い、

保存療法なのか、手術をしたほうがいいのかを検討する必要があります。

 

症状として、腰痛や上後腸骨棘周囲の疼痛で、

腰椎が問題ない場合、後方損傷が示唆されますので身体所見もしっかり確認しましょう。

 

 

保存療法で大部分は良くなるとは基本的にされてます。

十分な鎮痛・疼痛に応じてADL向上のためのリハビリ、基本は全荷重を許可。

骨癒合も大事ですが、ADLを低下させないことが治療のキーポイントです。

 

 

手術となる場合は、侵襲少なくかつ固定性を得られることが大事です。

2013年に提唱された上記の表では内固定が推奨されてましたが、

侵襲を大きかったり、骨脆弱性による内固定材のlooseningや再転位などの問題点があります。

 

bone stockが比較的に保たれているところに、インプラントを。

可能な限り低侵襲、経皮的固定など。

解剖学的整復よりも機械的安定性が重要視することが大事です。

 

転位のリスクに関しておもろい論文

 

先程も書きましたが、骨折型の進展には注意が必要あり、

場合によっては、保存療法から手術に切り替える必要があります。

 

 

では、どのような症例が進展しやすいのか、そういった報告があるのか。

というのを調べてみたところ、面白い報告がありました。

📝参考文献
JSFR 骨折 第41巻 No.3 2019 

上田らの報告で、

 

”Pelvic incidence(PI)の増加は脆弱性骨折の骨折型進展の原因になりうる”

というものがあります。

 

この研究の結論では、

年齢80歳以上のFFPsにおいて、骨盤矢状面形態角のPIが大きい症例ほど骨折型進展の可能性が高い

とのことです。

 

PIはPelvic tilt(PT)+Sacral slope(SS)の和であり、個体特有の形態角です。

進展した症例のPIは平均68.1と高値で有意差を認めた、との事でした。

 

 

typeⅡでこういった症例の場合、悩ましい状況であれば早期にopeに切り替えても良いかもですね。

今後の参考になれば幸いです。




Twitterでフォローしよう

おすすめの記事