骨盤輪骨折の分類について【整形外科】

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久々に整形外科関連のことです

 

5月もあっという間に過ぎて早くも梅雨の感じですね。

蒸し暑いし、宣言も続いてるし。

気が滅入るますが、ゆるーく頑張ります。

 

 

というわけで、

今回は骨盤輪骨折の分類について。

 

 

先日、骨盤骨折がきて創外固定を久々に立てたのですが、

そこで分類について改めて勉強しようと思った次第です。

 

やはりAO分類は基本中の基本ですが、

それ以外にも臨床的に役立つものを見ていきましょう。

AO分類に関して

 

まあ、まずは骨折分類の基礎。

AO分類ですね。

 

整形外科のなりたての頃は、

何じゃあああ!!この細かい分類作った奴ーー!!

って思ってましたが、

慣れてみると便利な分類です。笑

 

スタンダードな分類なので、骨盤に関してもしっかりおさえておきましょう。

特に最近改定されたAO分類の3版を見ますと、

骨盤に関してはかなり分かりやすく改訂された印象です。

 

AO分類は基本的には、

12-A1

とか

33-B2

とかで表されます。

 

○△-□☆という形ですね(サブタイプは一旦置いといて)

○が1:上腕、2:前腕、3:大腿、4:下腿

ですね。

△は1:近位端、2:骨幹部、3:遠位端

となります。

□がA:関節外(単純)、B:部分関節内(楔状)、C:完全関節内(分節)

で☆以降は細かい分類へとなっていく訳です。

 

じゃあ骨盤はどうなるのかというと、

○は6:骨盤

△が1:骨盤輪、2:寛骨臼

で、☆は簡略的にですが、A:安定型、B:部分不安定型、C:完全不安定型

となります。

 

つまり、

61-B2.1

という風に言ったりします。

 

骨盤においても、AO分類は細分化されておりこれを全て把握するのはなかなか大変です。

ひろ○き
なんだろう、覚えてもらっていいすか?

 

先輩に煽られても負けないように要点は掴みましょう。

 

そのために、

もう一つの分類をご紹介します。

Young-Burgess分類

 

骨盤輪骨折はこの分類とAO分類だけで良いんじゃないかな?

 

高齢者の脆弱性骨盤骨折はまた違う分類がありますけどね😌

 

ではこの分類

ヤングバージェス分類(だよね?多分)

についてです。

📝参考文献
Young JW. Radiology. 1986 160(2)445-451

○Lateral compression (側方圧迫型)

LC1:仙骨骨折 LC2:仙腸関節脱臼骨折 

LC3:LC1またはLC2に対側のAPC合併

○Anterior posterior compression (前後圧迫型)

APC1:恥骨結合離開2.5cm未満 

APC2:恥骨結合離開2.5cm以上、後仙腸関節靭帯損傷なし

APC3:後方靭帯成分要素の完全破綻

○Vertical Shear (垂直剪断型)

-surgical technique vol.9 no.6 2019(図抜粋)

 

 

受傷時の圧迫方向によって分類されたものです。

これらの分類がAO分類で何にあたるかも後述しますので、

覚えておくのが良いかと思います。

 

基本は、部分(回旋)不安定性あれば推奨なので、

LC1、APC1以外はオペ推奨となります。

 

が、大事なのはLC1やAPC1でも手術となりうるということですね。

なぜなのか。

 

それは骨盤には

リコイルリダクション

が起こるからです。

 

なんそれ!!と思いますよね。

簡単に言ってしまえば

骨盤周囲の筋肉の影響で実際は凄い転位してたはずが、

検査時には転位がやや戻ってしまうことです。

 

なので、

画像検査で後方要素の評価はもちろんですが、

麻酔下でのストレステストで転位が増強する場合なども

オペを考慮した方が良いということです。

時を戻そう

 

では、

先程の分類を踏まえてAO分類を見ていきましょう。

 

61A 安定型(後弓が保たれている)

 61A 1.1 上前腸骨棘剥離骨折

 61A 1.2 下前腸骨棘剥離骨折

 61A 1.3 坐骨結節骨折

 61A 2.1 腸骨翼骨折

 61A 2.2 片側 前弓骨折

 61A 2.3 両側 前弓骨折

 61A 3 仙骨横骨折

61B 部分不安定型(後弓一部損傷あり)

*61B1 回旋不安定性なし

 61B 1.1 側方圧迫骨折(LC1)

 61B 1.2 恥骨結合離開、オープンブック骨折(APC1

*61B2 回旋不安定性あり(片側の後弓損傷)

 61B 2.1 仙骨骨折、及び内旋不安定性を有する側方圧迫型骨折(LC1)

 61B 2.2 腸骨骨折or仙腸関節脱臼骨折、及び内旋不安定性を有する側方圧迫型骨折(LC2)

 61B 2.3 外旋不安定性を有する恥骨結合離開、オープンブック骨折(APC2)

*61B3 回旋不安定性あり(両側の後弓損傷)

 61B 3.1 片側は内旋不安定性、対側は外旋不安定性を有する側方圧迫型骨折(LC3)

 61B 3.2 両側仙骨骨折を伴う側方圧迫型骨折

 61B 3.3 外旋不安定性を有する恥骨結合離開、オープンブック骨折(両側のAPC2)

61Ç 完全不安定型(後弓完全破綻)

*61C1 片側の後弓完全破綻(APC3、vertical shear)

 61C 1.1 腸骨骨折を伴った後弓破綻 

 61C 1.2 仙腸関節部での後弓破綻 

 61C 1.3 仙骨骨折を伴った後弓破綻 

*61C2 片側の後弓完全破綻、対側の後弓損傷

 61C 2.1 後弓完全破綻部が腸骨 

 61C 2.2 後弓完全破綻部が仙腸関節

 61C 2.3 後弓完全破綻部が仙骨 

*61C3 両側の後弓完全破綻(APC3、vertical shear)

 61C 3.1 仙骨より外側での両側後弓破綻

 61C 3.2 片側が仙骨、対側は仙骨より外側での後弓破綻

 61C 3.3 両側とも仙骨での後弓破綻 

 

 

AO資料から自分で適当に落とし込んだ訳をつけときました。笑

これを参考に骨盤骨折の分類を覚えてもらえれば幸いです。

 

受傷時の圧迫方向で骨折型が推移できること。

AO分類でのA、B、Cがある程度分かり治療方針が決められるようになること。

 

最初はこの2つの分類をしっかり把握しましょう。

では、今回はこのへんで。




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