【整形外科】小児骨折、上腕骨顆上骨折について

 

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最近は、、、

久しぶりの更新です。

コロナウィルスの勢いがほんとに凄いです、、、コロナウィルスに関しても記事をあげるかどうか悩みます。というのも、コロナ(COVID-19)に関する情報拡散が下手に誤解や混乱を招く可能性が心配です。

 

医療制限・崩壊はどんどん現実的になってきており、そこはもちろん心配ですが、COVID-19に対する恐怖・不安や自粛にともなう経済崩壊、精神崩壊等どんどん連鎖的に問題が起きてくるのが目に見えてます。可能な限り早く落ち着くことを願います。

みなさん、こんな時こそ楽しく明るくいきましょう。そしてstay homeですね。。

 

というわけで、こんな時期にも外傷・骨折は起こります。特に子供などの外傷は早期の治療が必要で、後遺症を避けるため整形外科としては準緊急的に治療にあたります。

 

今回は子供の肘周りの骨折でもっとも多い「上腕骨顆上骨折」について書いていきたいと思います。

 

上腕骨顆上骨折

 

小児の肘周囲の骨折・脱臼中でも最も頻度が高いです。子供の肘症状で肘内障なら全然いいのですが、この骨折だと非常に気が重くなります。

 

転倒や転落などをして、肘の部分に激しい痛みと腫れがあり、痛くて肘がうごかせない場合に、この骨折を疑います。骨折片で神経や血管が損傷されると、手や指がしびれたり動かせなくなることがあります。

 

小児の肘の打撲で腫脹が凄い、変形がありそうと言った場合にまずはこれを疑います。

 

 

高所からの転落受傷などおきます。公園で遊んでて落ちたとかですね。肘を直接ぶつけるというよりは上図の様に、手をついて受傷するケースが多いです。まれに前腕の骨折も合併します。

 

屈曲型、伸展型なんて分け方をしますけど、主に伸展型(約95%)ですね。手をついて骨の断面積が小さい顆上部にストレスが生じて骨折が起きます。

 

肘関節周囲骨折の60~80%と最も頻度が多く、ピークとしては5~6歳の男児ですね。肘関節周囲骨折の嫌なところは後遺症です。これらを残さないように治療に望む必要があります。

 

 

 

 

上のレントゲンの矢印の部分、骨と骨が開いてる部分ですね。分類に応じて治療が変わってきますが上のやつは完全に手術です。

 

阿部の分類

 

上腕骨顆上骨折においてメジャーな分類の一つです。

安倍じゃないですよ、阿部です。くれぐれも叩かないでください。

阿部の分類

  •  Ⅰ型:転位のないもの
  •  Ⅱ型:矢状面における伸展転位が主体のもの
  •  Ⅲ型:中等度の転位で骨片間に接触のあるもの
  •  Ⅳ型:転位が高度で骨片間に接触のないもの

今日の臨床サポートより

 

 

骨折部の転位が戻って保持できれば、必ずも手術ではなく予後良好で機能障害を残すことも少ないです。

しかしそれが不十分だと合併症のリスクはあります。

 

合併症

 

子供の肘に合併症は残したくないですよね。注意すべきメジャーな合併症は以下になります。

  1. 神経損傷
  2. Volkmann拘縮
  3. 内反肘

①神経損傷

報告などでは10~15%に神経麻痺の合併といわれてます。結構多いですよね。。

 

自然回復するケースが多いですが、尺骨神経麻痺症状は回復が難しいなどもあるそうです。逆に頻度の多い正中神経や撓骨神経麻痺は回復が見込めることが多いです。

 

受傷早期に認めるケースもあれば術後に出現するケースもあります。一番多いのは正中神経麻痺だそうです(伸展型骨折では)。橈骨神経麻痺のが多いと思ってました。前骨間神経麻痺といって正中神経の運動障害だけでる麻痺もまれではないです。自分も経験がありますが、親指と人差し指のさきっぽの動きが悪い(DIP/IP屈曲障害)ですね。

 

無能研修医ブタ男
神経麻痺とか怖いんだが!!どうしたらいいんだ、、、

整形外科非専門医
とりあえず、術前の神経麻痺でおきるのは正中神経とか橈骨神経麻痺だから指・手関節の動きはしっかり確認しよう。あと動脈もね!!

 

受傷によって神経麻痺になるのは正中神経・橈骨神経がほぼで、尺骨神経は医原性の可能性もあります。医原性の損傷や断裂などは話は変わってきますが、基本は経過観察で軽快するケースが多いので過剰に恐れる必要はありません。もちろん評価や十分なICは必要ですが。

神経麻痺に関してはこちらの記事も。

 

 

2019年の専門医試験でも出題されてますが、神経麻痺に対してすぐ手術というわけではありません

 

日本整形外科学会

②Volkmann拘縮

Volkmann拘縮は、前腕のコンパートメント症候群や上腕動脈損傷などに伴う不可逆性の阻血性拘縮で、上腕骨顆上骨折では注意が必要な合併症です。

この拘縮は完成すると手の機能が廃絶することがあるため、拘縮に至る前(6時間以内)に処置が必要となります。

 

上腕動脈の血行障害による(深指)屈筋群障害や正中・尺骨神経障害で手の著しい拘縮が出現します。

 

 

 

写真のごとく、手の強い変形が残ります。ざっとまとめると各部位の拘縮は

  • 前腕、手関節:回内、屈曲(掌屈)拘縮
  • 母指:内転、IP関節屈曲拘縮
  • その他手指:MP関節伸展、DIP関節屈曲拘縮

 

これを防ぐために、しっかり指の動き、撓骨動脈の触知を確認です。

 

③内反肘

 

上肢が肘で横方向に15度以上曲がると(内反肘変形)、見かけが悪いだけでなく、やがて上肢の機能が障害される可能性があり、追加の治療を検討することがあります。

 

肘が外側で前腕軸が内側になってる変形ですね。

これは末梢骨片の内反転位の残存が引き起こします。

 

末梢骨片は上腕三頭筋、上腕二頭筋にそれぞれ後内側、前外側に引っ張られますが、

後内側皮質は強靭で橈側骨膜が破綻し尺側転位しやすく、

そのため内反・内旋変形になりやすいのです。

 

これらは手術でしっかり整復しなければなりません。

屈曲転位と違いリモデリングされずできる限り左右差なく整復します。

Bauman's anngle、carrying angle、tilting angleなどを左右と比較して整復をしましょう。

 

 

回旋転位の残存としてanterior spikeがありこれも先程の問題に出題があります。

 

日本整形外科学会

 

この問題、正解はd,eとなります。中枢骨片尺側のspikeの残存は内旋転位があるので整復不十分と言えます。

ちなみこの問題、bの引っ掛けは腹立ちますね。Xpの正面と側面を見間違えた人多分いると思います。(僕です)

 

 

早期に適切な治療で合併症を避けることにつきる

 

いかがですか、医療が発達しても外傷は発生します。特に子供の外傷はこの薬飲んでいれば防げるというものではなく、迅速かつ適切な治療が必要です。

 

焦らず評価、治療をすることが整形外科医としては大事かと思います。小児の肘骨折は他にも色んな骨折、注意が必要なのでまた後日投稿できればと思います。

無能研修医ブタ男
今回、やけに真面目だな。どした?疲れてどうかなったか?

整形外科非専門医
まあな、てかキャラ定まってないんよ




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