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ありふれた骨折のマニアックな話題
今回は”大腿骨頸部骨折”について。
この骨折自体は非常にありふれてる骨折です。
超高齢社会のため、今後もいっぱい見かけるでしょう。
足の付け根、股関節あたりの骨折ですね。
親戚でこれをやった人も多いのではないでしょうか。
救急外来ではあの橈骨遠位端骨折を凌ぐ件数です。
そんな骨折なのですが、
話す内容は非常にマニアックな内容をしたいと思いますww
骨接合か、人工骨頭(関節)ではあるけど
まあ、
手術をするケースが殆どではありますが、
骨頭温存可能かどうかで手術の術式が変わると思います。
いわゆるガーデン分類でⅢ以上かどうかが一つの指標ですが、
若年者だったり、転位の程度ではなんとか骨接合を行うことを第一に考えます。
その際、どこまで整復するか!もしくはそのままいじらないのか!
など、考える部分もあると思います。
頸部骨折といえば
ピン・スクリュータイプのインプラント(hansson pinなど)が多いかと思いますが、
そのhansson pinの資料の中に整復基準が記載されているものがありました!!
・大腿骨頸部骨折に対する整復基準(正面像)
内反変形は許容しない
外反変形は15°まで
転位は軸方向で最大2mmまで許容範囲
・大腿骨頸部骨折に対する整復基準(側面像)
前後屈とも10°まで
転位は軸方向で最大2mmまで許容範囲
サルグレンスカ大学附属ムンダル病院院内資料
また後捻(後屈)に関しては、10°以上といわず、術後転位のしやすさもあり
残存するだけでLSC(Late segmental collapse)のリスクと仰る先生や、論文報告もあり、
以下のような整復目標を掲げる方(岩倉崇先生の報告)もいます。
・非転位型頸部骨折の整復目標
後捻:posterior tilt 0°(5°以内)
外反:解剖学的〜軽度外反
自分も後捻に関しては
hansson pin であれば可能な限り整復した上での刺入が必要だと感じます。
pinlocは回旋・後方支持性は優れてるので、そのまま即ズボもww
外反に関しては??
では、外反に関してはどーなのか。
従来のガーデンⅠ型はそのまま固定するケースが多かったと思われますが、
国内の報告をみても、以下のような整復するメリットがあげられます。
・固定力の向上
・血行動態の改善
・これらによる大腿骨頭壊死・LSC・大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(SIF)の予防
簡単に説明しますと、
①固定性
整復により、インプラントが骨密度が高い主圧迫骨梁を強固に把持される(pinloc想定)
②血行動態の改善
骨頭への流入血管は様々な血管から供給され、ネットワークを形成しており、
転位を整復することでネットワークの再灌流が出来ると考えられている。
(上皮膜下動脈のねじれ・破綻が生じていると想定されている)
③SIFに関して
外反位を残して固定すると、軟骨下骨が脆弱な部位に負荷がかかりやすくSIFが起きやすい。
また、固定性に関することで追加として、
骨頭内側皮質と頚部内側皮質の関係性、整復位を分類した
McElvenny分類
という分類があります。
言ってしまえば、転子部骨折の髄内・髄外の分類ですね。
関節外科2018.9.37
McElvennyによると
上記の3つの整復位があり、
a.解剖学的整復位
b.整復不十分
c.over ruducction
とされ、すくなくともb.の2nd positionは避けなさいと。
c.が骨性保持が強く、いわゆる髄外型でもないですけど、固定性はいいという報告です。
すくなくとも、解剖学的整復位にしましょう。
まとめまして、、、
色々な情報が出てきました。
全て満たす、理想の整復位はなんなのか!!
側面:後捻は0°(5°未満)
転位幅:軸方向でそれぞれ2mm未満、ただし2nd positionは✖
ここまで考えると、
hansson pinめんどくさっ!!
ってなるかもですが、可能な限り上記を目指すほうが術後合併症は明らかな少ないと思います。
参考になれば幸いです。