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大腿骨頚基部骨折とは
今回は大腿骨頚基部骨折について。
頻度はそんな多くないです。
高齢者に人気の骨折、大腿骨近位部骨折では、
転子部骨折や頚部骨折が多い中、比較的珍しい。
定義は何なのか!
ということですが、あまりちゃんと定義されてません。笑
その定義が明確でなく、頚部骨折・転子部骨折のどちらにも分類出来ないものを頚基部骨折と読んでいるのが実情である。
ー大腿骨頸部骨折・転子部骨折診療ガイドライン2020
ガイドラインですよw
まあ、自分の中では
関節包内の骨折が、頚部骨折
関節包外の骨折が、転子部骨折
関節包内外にまたがう骨折が、頚基部骨折
としてます。
ウェビナーや雑誌を見てると、分かりやすい図が多いです。
前の転子部骨折の記事でも大変参考にさせて頂いた”徳永先生”の図は以下の通り
この図がいわゆる頚基部骨折なのかなーと思います。
骨頭型?骨幹部型?
頚基部骨折にも注意すべき分類があります。
”骨頭型”と”骨幹部型”です。
なんのこっちゃということですが、
頚基部骨折の前内側皮質がどちらの骨片についてるか。
コレによって治療方針、成績が変わってきます。
先ほど、図で示した転子間よりわずかに骨折線が骨頭側なのは
”骨頭型”
です。
骨幹部型は上図の右側であったり、前額面せん断性骨折などが分類されます。
頻度としてはどちらも同程度だそうです。
ただ骨幹部型の骨接合はsliding量が多い報告が多くcut outに注意です。
骨幹部型は高齢者であれば人工骨頭を推奨される部分もあります。
自分は骨幹部型は診たことが正直無いですね。
臨床では転子部骨折がすごい多いですが、
実は頚基部骨折でlag screw入れるときにすごい骨頭骨片が回旋して、
いい整復位とれないなーってのが多いと思います。
ではこういった難しい転子部骨折といいますか、
いわゆる骨頭型の頚基部骨折の骨接合の注意点は何なのか。
回旋対策とlag screwの位置にこだわる
骨頭型の骨接合では
・lag screw挿入時に抗回旋ピンも
・lagはcenter,centerがオススメ
このポイントを生かして、良好な整復位で固定をすることです。
注:SFN前提で今回は話してますが、SHS+ARscrewという選択肢もありかと。
(SFNしかやったことほぼないし!SFNが好きなんだよ!!)
回旋に注意して良好な整復位を得ることができれば、
術後成績は良好です。
そのため、術中操作が大事なのですが、
2.4〜3.0のKワイヤーをlag screwのガイドピンと同様に挿入することで、
前後の操作中に整復位が保つことが出来ます。
-surgical technique vol.9 no.4 2019
図の様に、整復を行いつつ、Kワイヤーを追加刺入します。
正直、これでも回旋すること結構あります。
なので、先生によっては臼蓋までぶっ刺す人もいるそうです。
もう一点のlag screwの挿入位置に関して。
AP方向で見たとき、
lag screwをcenterにするか、やや下方気味に挿入するか悩む部分あると思います。
頚基部骨折に関しては、
報告を見るとcenterの方が成績がいいらしいです。
偏心性に挿入する回旋モーメントが加わると
頚基部骨折では特にcut outが危惧される訳ですね。
center,centerに挿入して、TADを限りなく小さくする!!
これが頚基部骨折での術後成績に重要なのかと思います。
骨幹部型に関してもまたの機会に触れられたらと思います。