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手外科シリーズ!!
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今回は手の痛みの鑑別疾患。
キーンベック病についてです。
比較的マニアックな部類になるのでしょうか。
医学部生時代に名前は聞いたこと有るけど、
”ナニソレ?オイシイの?”
状態の人は他科の医師の方でも多いと思います。
ベタなキーワードをまとめると
”外傷なしの利き手の痛み”
”職人などの手の負担が多い20〜30代の男”
”手を使った後の関節の疼痛・可動域制限・握力低下”
といったとこでしょうか。
キーンベック病って何なんだ?!
キーンベック病とは、
原因不明の月状骨の無腐性壊死です!!!

そうなんです、でも原因不明なんですw
ええ、日本整形外科学会もそう言ってます。
原因は不明です。職業的には手を良く使う青壮年の男性に多く見られます。明らかな外傷や職歴のない女性、高齢者にもみられることがあります。一説には月状骨の小さな不顕性骨折(はっきりしない骨折)が原因とも考えられています。
月状骨とは、
図の部分が月状骨になります。
図は掌側ですが、腫脹や圧痛は背側がメインです。
てか手の骨(手根骨)って多いんですよね。。


原因不明ではあるのですが、
関連因子として以下の解剖学的異常が指摘されてます。
・月状骨の形態、血流動態
・尺骨のマイナス変異(ulnar minus variance)
また、作業やスポーツ活動などの繰り返しの手関節のストレスが原因となる
とされてます。
男女比は3〜4:1で、
男が多いです。
好発年齢は20〜30歳代、あと60歳代にも比較的多く見られます。
月状骨の無腐性壊死による、圧潰・骨折を伴い
・手根骨配列異常
・橈骨手根関節、手根中央関節の関節症
などを惹き起こします。
分類とか治療とか
分類としては
Lichtman分類が有名です。
・Stage0:手関節痛などの自覚症状を訴えるが単純X線像やMRIで異常所見を認めないもの
・StageⅠ:単純X線像で月状骨に異常がないかあっても線状骨折、MRI Tl強調像で月状骨の低信号を呈する
・StageⅡ:単純X線像で月状骨の骨硬化を認めるが形状は保たれている
・StageⅢ:月状骨の扁平化や分節化を認め、
・StageⅣ:手根骨、橈骨を含めた手関節の関節症性変化を認める
治療ですが!
症状が軽度であれば保存加療を選択するケースも多いです。
stageⅢが悩ましいところで、AかBでもかなり変わってきます。
手術も行われますが、
10歳代中盤まで、もしくは高齢者でstageⅠ・症状が軽度のstageⅡ・Ⅳは
保存加療(投薬、手関節のスプリントやギプス固定を常時か作業中装着)
をしばらく(数ヶ月〜半年)試みます。
症状が強いstageⅡやstageⅢは
手術も十分検討すべきかと思います。
ⅢAまでは保存、手術など適切な治療をしてあげれば治療成績が良好とされており、
手術としても
月状骨の除圧や再血行化(骨切り、血管柄付き骨移植・血管束移植など)
といったものがメインとなります。
ⅢB以降で手術を選択すると固定術や骨切除・摘出など、
これらを症例ごとに選択することになります。
難しい、、、、
2019年専門医試験に実は出てました。
正答率どーだったんだろうか。
まあ、
今回説明したとおりですが、
遺伝素因は証明されてなく、
月状骨の無腐性壊死で(舟状骨はpreiser病)、
進行すると病的骨折や変形性関節症になり、
保存加療は比較的まず数ヶ月は考慮していい。
という訳で答えはCですね。
外傷なしの手関節痛・若い男の人でよく手を使う職業の場合、
この疾患も可能性として考えてみてください。